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Posted by おてもやん at

2016年09月13日

厚生年金保険・健康保険の「改正」 短時間労働者の適用拡大はじまる !

2016年10月1日から短時間労働者(日赤職員でいう嘱託・臨時・パート職員のうち一定の条件を満たした労働者)に対して、新たに厚生年金保険・健康保険への加入が適用拡大されます。
いままでは、一般的に週30時間以上働く労働者が厚生年金保険・健康保険の加入対象でしたが、国の制度「改正」で10月1日からは週20時間以上働く労働者にも対象が広がります。また、いわゆる年収130万円の壁も106万円に引き下がります。

 この「改正」により、勤務先の健保に入れずに国民健康保険に入っていた人は、保険料が引き下がるなどの改善となりますが、配偶者等の扶養家族(第3号被保険者)となっていた人は、これからは自分で保険料を支払うことになり負担が増えるものです。しかし負担が増えることで年金等におけるメリットも発生しますので、よく考えて個々人が対応する必要があります。

日赤の全事業所が対象

〇10月1日から、特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、新たに厚生年金保険・健康保険の適用対象となります。

 特定適用事業所とは 
〇日赤は、一つの法人であり同一事業主として特定適用事業所の基準を満たすので、全国の日赤施設はもとより熊本日赤でも適用拡大の対象となります。

 短時間労働者とは 

〇勤務時間・勤務日数が常時雇用者(フルタイム労働者)の4分の3未満で、以下の5要件①~⑤の全てに該当する職員が適用拡大の対象者となります。
※ 4分の3以上の人は既に厚生年金保険・健康保険の適用となっています。
※ 現在、短時間(臨時・嘱託・パート)で働く職員、第1号被保険者(自身で国民健康保険に加入している方)、第3号被保険者(配偶者の健康保険に加入している方:主婦パート等)が適用拡大の対象になる可能性があります。


①週の所定労働時間が20時間以上であること(※雇用保険に入っている労働者)
②雇用期間が継続して1年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万円以上であること
④学生でないこと
⑤特定適用事業所に勤めていること


?常時雇用者(フルタイム労働者)の4分の3未満ってなに?

例えば、日赤の正規職員は週38時間45分ですが、週5日勤務(5×4週=月20日勤務※厚労省のQ&Aによる計算)の場合には、4分の3は週29時間04分以上及び月15日勤務以上となります。

(想定ケース)1週の所定労働日数が5日の非正規職員(育児短時間勤務は除く)で

(1) 1日の所定労働時間が6時間なら・・週30時間、月20日で4分の3以上
 ※既に適用となっている

(2) 1日の所定労働時間が5時間なら・・週25時間、月20日で4分の3以下
 ※20時間以上で拡大対象、ただし時給880円未満の場合は対象外

(3) 1日の所定労働時間が4時間なら・・週20時間、月20日で4分の3以下
 ※20時間以上で拡大対象、ただし時給1100円未満の場合は対象外

(4) 1日の所定労働時間が3時間なら・・週15時間、月20日で4分の3以下
 ※20時間以下で対象外


?賃金の月額が8.8万円以上であることの賃金って?

賃金の月額が、88,000円以上(年収106万円)であることとは、雇用契約書に記載されている週給、日給、時間給を月額に換算したもの(基本給)に、各諸手当等を含めた所定内賃金の額が88,000円以上である場合となります。但し、次の①~④の賃金は除かれます。


①臨時に支払われる賃金(出産お祝い金など※厚労省Q&Aの例示)
②1月を超える期間ごとに払われる賃金(賞与などの一時金)
③時間外労働に支払われる賃金、休日労働及び、深夜労働に対して支払われる賃金
(割増賃金)
④最低賃金において算入しないことを定める賃金(通勤手当、家族手当、精皆勤手当)


保険料・掛金の計算 (2016年10月時点の料率にて計算)

健康保険の掛け金の計算は次のとおりです。

(標準報酬月額)×(日赤健保掛金率91.60‰×2分の1)=健康保険の掛け金

 例:月額90,000円の賃金の場合で日赤健保加入の場合
(標準報酬月額88,000)×(91.60‰×2分の1)=4,030円


また、健康保険の被保険者に該当する40歳以上65歳未満の方は、介護保険第2号被保険者となるため、健康保険料と合わせて、介護保険料の被保険者負担分を賃金から控除されますので注意が必要です。

介護保険料の掛金(労働者負担分)
(標準報酬月額)×(日赤健保介護保険料率11.40‰)=介護保険料

 例:月額90,000円の賃金の場合で日赤健保加入の場合
(標準報酬月額88,000)×(11.40‰×2分の1)=502円


厚生年金保険の掛け金(労働者負担分)は次のとおりです。

(標準報酬月額)×(日赤年金基金保険料18.182‰×2分の1)=厚生年金保険掛け金

  例:月額90,000円の賃金の場合
(標準報酬月額88,000)×(18.182‰×2分の1)=8,000円


※社会保険料の掛金を負担することで収入減となります。また健康保険における夫の扶養家族から外れることで、会社によっては夫の扶養手当が無くなることも予想されます。以下は例えば…

(1) 月額90,000円の39歳以下Aさんの場合の手取額
 90,000-[(健康保険組合労働者負担分4,030円)+厚生年金保険料8,000円]=77,970円

(2) 月額90,000円の40歳以上Bさんの場合の手取額
90,000-[(健康保険組合労働者負担分4,532円)+厚生年金保険料8,000円]=77,468円


健康保険・厚生年金のメリット

健康保険に本人が加入するメリットは次のことが挙げられます。


(1) 健康保険料の半額を会社が負担してくれるので、個人で全額負担していた場合に比べて負担額が軽くなる。

(2) 傷病手当金・出産手当金を受給することができる。
①私傷病で労務不能となった場合、月給の約67%が最大1年6か月間、傷病手当金として受給でき、病気の時も安心です。健康保険の被扶養者は傷病手当金を受給することが出来ませんので大きなメリットとなります。

②出産のため労務に従事しなかった場合、産前(42日間)産後(56日間)合計98日間、月給の約67%を出産手当金として受給することが出来ます。健康保険の被扶養者は出産手当金を受給することが出来ませんので大きなメリットとなります。


厚生年金に本人が加入するメリットは次のことが挙げられます。

(1) 年金保険料の半額を会社が負担してくれるので、国民年金に個人で全額負担していた場合に比べて負担額が軽くなる。

(2) 老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金を受給できる。

①国民年金だけ加入していると障害基礎年金1級または2級しか受給出来ませんが、障害厚生年金を受給できるようになると、1級の場合、障害基礎年金1級+障害厚生年金1級が、2級の場合、障害基礎年金2級+障害厚生年金2級が、3級の場合、障害厚生年金3級が、その他障害手当金が受給出来ます。

②遺族厚生年金を受給できるようになれば、国民年金より受給要件が緩和されていますので、遺族の方が幅広く受給出来ます。
③老齢厚生年金を受給できるようになると加入期間、その間の報酬額にもよりますが、国民年金だけ加入していた時より、老後に多くの年金を受給出来ます。


※現在の国民年金から日赤年金基金に加入する事によって将来貰える年金額

 例えば、月収90,000円のAさんの場合

ex)月収90,000円     保険料             増える年金額(目安)
  40年間加入   月額8,000円/年額96,000       月額19,300円/年額231,500×終身
  20年間加入  月額8,000円/年額96,000       月額 9,700円/年額115,800×終身
  1年間加入    月額8,000円/年額96,000       月額 500円/年額 5,800×終身
 

病院側が、掛金を半分負担する健康保険や厚生年金に加入することは改善だと思いますが、それにより掛金の本人負担や税金関係で家計の収入が減るのは避けられない状況であるといえます。
個々の家庭環境の違いにより対応も変わると思うので、対象となる方は今後の働き方を考える上でも参考にしてくださいね。


  


Posted by 熊本県医療介護福祉労働組合連合会 at 15:56Comments(0)労働行政関係その他の労働条件関係